②中国の軍事大国化への対応(1/2)


中国の経済的、軍事的台頭が明確になっている。念願のWTOの加盟も達成し、近い将来としては、2008年の北京オリンピックや2010年の上海万博など国家的イベントが控えている。中国は国内外、名実ともに国際社会の主役となりつつある。

その中国の軍事費は、経済成長率に伴うインフレ率の影響などもあるが毎年2桁の伸びを示している。日本は、軍事大国化する中国とどのように向き合うべきなのだろうか?

しかし、そもそも中国は東アジアの安定や平和にとって脅威となるのかどうかと言う問題はある。中国脅威論を唱える人は、中華思想に基づき中国は将来的にアジアの覇権を確立する野望があるとする。確かにその意見には一理ある。中国の根本的な思想として、世界には中国と言う超大国がひとつあって、その他は周辺国に過ぎないとする。その延長として、台湾も中国であると言う。

さらにその思想を拡大すると、ベトナムやタイなど東南アジアも中国の国土であると考えているのではないかと言う疑問に行き着く。日本も周辺国であるかもしれない。しかし、重要なのは、中国共産党政府は非常に現実主義的な考えも併せ持っているのも事実である。

例えば、香港、台湾、日本、その他の周辺東南アジア諸国は、今の中国の繁栄にとって重要な国や地域である。その国々に対して非合理な方法において併合や侵略を行うには、かなりの自制がかかると思われる。また、現代社会では情報は国際社会を一瞬で駆け巡るため、仮に中国が非合理な行動をとった場合、それなりの非難と制裁を受ける可能性がある。また、これまで築き上げてきた信頼も失う事となる。