グローバル会議(製造)

G会議(2/2)

2.2つ目は労働法の問題についてです。最低賃金の改正により、近年は中国国内でのコストメリットが薄れてきているのは周知の通りです。この事からも、最近よく言われる「中国+1」の考え方から、ベトナムやインド、東欧への投資を急速に考えている(実施している)企業は多いようです。しかし、これは、経済学上で言われる賃金の決定が、需要と供給の関係で決定されるという考え方とはズレた現実が要因です。
  
つまり、昨今の中国国内での賃金上昇は、需給ギャップにより起きているのではなく、中国政府の格差是正政策の一環として人為的に達成されており、結果として今後の賃金上昇が経済環境から推測する事が、難しくなる要因となっています。

さらに上記の影響以外にも、企業間での賃金上げの動きがあり、低賃金での優秀な人材確保が難しくなってきているという面もあります。逆にこちらは、優秀な人材という有限資源をめぐり、需給ギャップが起こり賃金上昇に結びついているのではないかと考えられます。また、退職金の支払い義務などについても企業側にとってのリスク要因となっています。


これら2つの観点以外にも中国には政治リスクや北朝鮮リスクなどもあり、ひと筋縄では行かない環境であることは言うまでもありません。しかし、既に中国進出を完了させている企業は多く、それらの企業にとっては様々なリスクがあるのを踏まえたうえで、撤退ではなく継続的な投資先とて考える必要があります。

これは単なる投機先として中国を見ている(とは限りませんが。。)ファンドと、進出先に根を張って活動しようとする製造業との大きな違いなのかなという気がします。もちろんファンドや金融機関を通じて投資された資金があるからこそ現地での経済の活性化が達成される面があるのは事実ですので、両輪がうまくかみ合うことが重要なのかなと思いました。