①米軍再編成への対応(1/2)

I‐②においても言及したように、米国と日本の軍事や国際政治面での国家戦略は根本的に違いがある。その事を踏まえたうえで日本はアメリカと付き合っていく必要がある。アメリカは1900年代前半においては、パクスアメリカーナと言われる様に世界の警察としての役割を自身に課していた時代もあった。

しかし、現在のアメリカはどうなのであろうか?アメリカは世界に対して警察の役割を行えるだけの信頼を世界の国々から受けているのだろうか?イラク戦争の長期化や9.11に見られるように、アメリカは国際社会から信頼されているとは言い難い部分はある。憎しみを与えない国家でないと言う事は確かである。

確かに、国際社会はそれぞれの国家や民族、各主体の主張があり利権があり、それぞれの文明や文化さらに宗教があり、サミュエル・ハンチントンの「文明の衝突」で指摘されるように、国際社会における衝突と言うのはある程度は不可避的な要素を含んでいるのだと思う。しかし、その衝突を避けるべき手段を考え、出来る限り融和的に物事を進めていく事は出来ないのであろうか?

アメリカは冷戦時代からポスト冷戦時代に入り、現在まで世界に唯一の超大国として君臨している。しかし、そもそも、その間に、国際社会の衝突を避けるために、可能な限り公平に尽力してきたのであろうか?この問いに明確にYESと答えられる人はアメリカにも日本にも国際社会全体でも居ないのではないだろうか。米国は場合によって覇権主義的な行動を取って来たのは事実であろう。

また、今の世界は、突出して富める少数の裕福な者とそうでない者がいるが、圧倒的にアメリカは富める側である。(アメリカ社会内にも格差はあるが、古くから指摘されているWASPの優位は根本的に変わっていない。)また、貧困と原理主義的宗教対立が結合しテロ問題が深刻化している。これは、富の格差の結果であり、米国の覇権主義的行動の結果である。