<Ⅰ.憲法(内閣府・法務省・与野党・国民全体等)>

② 平和条項9条について (1/2)

 ・それでは具体的に9条はどのように改定すべきなのかを考えたいが、その議論を進めるにあたっては明確に原則を掲げ、もちろん詳細の法的解釈の可能性などを含めた詳細な論議は専門家に任せる必要があるが、少なくとも原則論のレベルでは国民の理解と合意を得るように努力すべきであると考える。ここでは、原則論について意見を述べたいと思う。


まず、原則となりえる可能性のある概念を以下に掲げた。


 1.専守防衛の原則
 2.文民(内閣)による統治体制の確立
 3.集団的自衛権の行使の明確化
 4.非核3原則 改め 新非核3原則(MD積極導入、NPT体制維持努力、技術保有


1.専守防衛の原則について明確にしておく必要があると思われる。つまり、仮に9条を改正して、自衛隊を軍隊に改定し、軍事力の増強を図る事になったとしても、日本国は戦争の消滅を希求し、また戦争という手段をもって侵略行為を行う事は二度とすべきで無いということを明確に示すべきだと思われる。また、これらの考え方は日本国民の多くが同意するのではないかと思われる。仮にその前提が世論調査や場合によれば国民投票によって確認できた場合は、原則として日本国は、あくまでも防衛のために軍隊を持つと明確に示し、軍事力を増強すると明言出来るのではないかと考えられる。主権国家として軍事力を保持すること自体は国際社会の中で認められる権利である事は言うまでも無い。日本国家が1800年代後半から1900年代中頃にかけて、アジアにおける侵略的な戦争を行ったことを理由として、軍隊を持つと最後同じ事を繰り返す可能性があり危険だと言うなら、アメリカ、ロシア、中国、ドイツ、イギリスなど欧米諸国を中心として帝国主義時代に侵略戦争を繰り返した国々も同じではないか?と言う事になってしまう。


2.文民(内閣)による統治体制の確立は9条改正を行うかどうかに関わらず重要な問題である。軍隊を持つことが許されるべきかどうかの本質論としては、現在において軍隊を持つ国が、それだけの倫理観や、軍隊を平和的に運用することを可能とする統治力を持つかどうかである。逆に言うと、現在の日本の政府による自衛隊の統治状態が強固なものかどうかという点については、疑問の余地があると思われる。一例を挙げると、米国の軍隊再編において、日本政府または外務官僚たちの対応の遅さになどを横目に、アメリカの在日軍隊と自衛隊の間で独自ルートでの協力体制の強化が進められていると聞く。さらに、政府側がそこでの決定事項を追認するに近い状態が見られるといった事は、日本国政府文民による軍隊の統治が出来る段階に無いのではないかと危惧させる要因でもある。この自衛隊統治形態の確立は9条改正を行うとして場合に、必要不可欠な要素であると指摘したい。さらに言うと、9条改正を行わないとしても、この統治体制の確立は今後の日本を考える上で、絶対的に必要な要素である。さらに、専守防衛の中に防衛のための先制攻撃が可能かどうかについても明確に規定しておく必要がある。