<Ⅱ.外交(外務省・防衛庁)>

注)9/15の日記が目次になっていますので、ご参考下さい。


② アジア連帯


 ・日本は言うまでも無くアジアに位置する国である。地理的に、絶対的にアジアのひとつの国として生きていくしかないのである。そのアジアでの近隣諸国と協調・協力する事は最も必要な事であると思われる。日本のアジアでの協力体制としては、通貨危機対応(新宮沢構想等)を通じて様々な金融面での協力体制が確立している。アジアの債券市場の確立、ASEAN協力、さらにシンガポール等とのFTAなど経済面での協力関係が存在するが、日本がアジアにおいてリーダーシップを発揮したり、強固な友好関係を達成しているとは言い難いのが現状である。と言うのは、アジアにおける政治的事情は複雑だからである。以前は、アジアにおいて日本がリーダーシップを発揮する事に対しアメリカが危機感を感じ、一定の妨害や圧力をかけていた経緯がある。ここ10年では中国が急成長を達成し、アジアにおいて経済的だけでなく、政治的、軍事的な存在感が増す一方である。その流れを受け、その中国に遠慮をしたアジアの他の国々が、日本と表立って独自に協力・強調を出来ないでいる構図が伺える。しかし、それは中国が悪いと言う事ではなく、日本がアジアの各国に信頼を与え、日本と協力する事が国益につながると言うことを説得出来ないでいることに問題がある。例えば、シンガポール、タイ以外にも、インドネシア、フィリピン、ベトナム等のそれぞれの国々と信頼関係を築き上げる事が重要である。中国だけでなく、日本とも明確な友好関係にあることが、それらのアジア諸国にとって有効であり、多角的でアジアの安定に繋がると理解してもらえるように、さらなる外交努力をすべきである。そもそも日本は、アジアの幾つかの国からは好意を抱いてもらっている事は、明確に認識しておくべきだろう。例えば、インドの独立に際しては日本のインパール作戦によるインド国民軍(INA)との強力が、現在のインドの基礎となっている事も指摘されている。また、インドネシアの独立のための軍隊の基礎を作るにあたり、日本人の協力が大きいとされている。また、ビルマ(現:ミャンマー)の独立にも、日本は大きな影響を及ばしています。さらに、マレーシアやカンボジアでも日本に対する解放者としての認識は存在しており、侵入者として忌み嫌われるような関係ではない。これらは、大東亜戦争の前後の出来事である。さらに、その後の日本はアメリカの庇護の下とは言え、奇跡的な経済発展を遂げ、アジアの諸国にとって希望の星となった事は事実であろう。これらは全て、先人たちの成してきた事である。しかし、ここで考えたい事と言うのは、これからの日本がアジア諸国やアジア地域のために何が出来るのかである。経済的な援助や協力もあるだろう。金融面での更なる支援もあるだろう。場合によっては、安全保障面での役割も果たす可能性も充分考慮しなければいけない。アジアにおいて中国と韓国との友好・協力関係の構築は、もちろん最重要であるが、今後、中国と韓国以外のアジアとの様々な連帯を進めていく事は、非常に重要な課題である。場合によれば、日本からの中国に対してのODAを、中国への明確な説明のうえで、他のアジアの国々に大きく振り分けると言ったことも検討すべきである。しかし、なによりも経済関係を超えて、政治的な面も含めた国家としての根本的で強固な協調関係、信頼関係を結ぶための相互理解と行動を進めて行く事が必要である。