<Ⅱ.外交(外務省・防衛庁)>

注)9/15の日記が目次になっていますので、ご参考下さい。


④ 対EU 指針


 ・現在のEU圏は更なる拡大を続け、トルコまでも取り込む可能性があるほどの大組織となっている。ヨーロッパは早くから宗教対立や民族対立による戦争の歴史があり、その反省からも域内での連帯と友好関係が絶対必要であると強く意識している。2001年からっ流通の共通通貨ユーロに関しても、当初はいろいろと不安などもあったが現在では安定的に推移している。特に昨今においては、米国経常収支赤字の拡大を受けドル急落の危険性が高まる中、ユーロ高に進んでいる。明らかに国際市場において一定の信頼と評価を確立した証左であると言える。そもそ日本とも経済関係は深く、貿易量の大きさなどからもユーロ圏が安定的である事は日本にとっても望ましいのは明らかである。一時期ヨーロッパはアメリカやアジアの勢いに押され国際社会における存在感を失っていたが、現在では平和で経済的にも安定した投資先としても安心できる地域となっている。特に東欧(スロバキア等)においては国を挙げて積極的な企業誘致を進め、経済発展に積極的に乗り出しており、非常に元気である。製造業などは、ドル一極集中のビジネススタイルからユーロ圏を取り組むビジネススタイルへの変更も検討され、実施されている。今後ますますユーロ圏の投資先としての価値は高まると思われる。企業レベルだけでなく、国家としての積極的なサポートが望まれる。また、日本との政治的な協力関係としては、現状ではまだまだ信頼関係が確立出来ているとは思えない。それはなぜか?地理的に遠いと言う事もあるだろうが、日本があまりにもアメリカとベッタリしている事に、フランスやドイツなどにとって好ましくないと言う感情があることが要因にあると思われる。例えば、ドイツは2次大戦においてはナチス主導により戦争へ突入して行き、ユダヤ人大虐殺に始まりヨーロッパ全土において悲惨な結果をもたらした。しかし、ニュルンベルク裁判でも定義つけられたように、多くのドイツ人やドイツという国に罪は無いとされている。もともとドイツには優秀な逸材が多数存在し、欧州における文明や技術発展をリードして来た事は紛れも無い事実であり、経験も豊かで伝統もある国でなのである。今、ドイツと言えば、WORLD CUPの開催国としての印象が一番強いかもしれないが、ドイツの歴史や伝統からも学ぶ点が多いと思う。また、フランスにしても市民革命により、市民が自分たちの力で主権を獲得した国であり、日本のようにアメリカから与えられた主権や平和に留まっている国としては、学ぶ点が多いと思う。また、EUやユーロという仕組みも、今後アジアの連帯を強くしていくためには非常に参考になるのは言うまでも無い。つまり、日本にとって欧州の歴史や、国や組織のあり方はいまだに非常に有効であり、積極的に学ぶ姿勢が必要である。その中でアジアや日本に適用できるものは出来る限り取り入れていく姿勢が必要だと思う。明治時代においてはドイツのワイマール憲法やオランダの蘭学など、欧州から学ぶ姿勢は強かったにもかかわらず、現在は欧米と言うよりも、アメリカの市場最優先主義に重心が傾きすぎていると言うのは、多くの識者が指摘している通りだと思う。日本は、日米関係を重視するあまりにバランスの取れた外交観が欠落しているのではないかとも思えるのである。仮にEU圏に日本が深く関わる事になれば、日本と米国との関係に悪影響が出るのではないかという危惧も存在しており、一見正しそうに感じられなくもない。しかしその真相は、日本という国が戦後61年と言う時を経ても独立国家として、世界全体を見渡した国際的な戦略を持たず、さらに他の独立国家からも本当の意味で認められていない状況に甘んじている事を意味する。EU圏との深い信頼関係の確立は、日本が本当に自立した国として存在していく事を望むのであれば絶対不可欠な課題である。その課題を達成するためには日本には何が欠けているかを考える必要がある。もちろんその欠けている事として、アメリカからの軍事的庇護に甘え続けている現状は含まれるものと考える。