<Ⅱ.外交(外務省・防衛庁)>

注)9/15の日記が目次になっていますので、ご参考下さい。


⑥対インド指針


・インドもBRICsに含まれる国であり、成長著しく今後も経済的発展が期待される国である。現在のインドの経済発展の基盤はIT産業であり、最近ではコールセンターサービスなども盛んになりつつある。中国一極集中に対するカントリーリスクが危惧されるなか、事業展開のポートフォリオのひとつとしてインドを注目する企業は多く、既に多数の大企業が進出している。このインドに対しても、経済的なつながりを上回るような日本の独自の外交戦略の存在は見えない。確かにインドは複雑な事情を抱えた国であり、その対応は一歩間違えると命取りになりかねず明確な戦略に基づいた対応が必要だろう。例えば、若干融和の流れが見えるとは言え、インドと中国の対立は根強い。インドとパキスタンの核開発競争は中国の後ろ盾なしにはありえない。中国にとって見れば、インドが軍事大国化すればするほど抑え込みたい相手となっているのが現実である。基本的に中国と対立関係にあるインドに対して日本が急激に友好関係や政治的協力関係を結ぶことは、中国を刺激する可能性は強い。では中国への遠慮からインドへの接触は最低限に押しとどめるべきなのであろうか?やはり、そうあるべきではない。日本にはインドと友好関係、政治的信頼関係を結ぶ理由がある。もちろん経済的な関係もあるが、例えばNPT体制の維持に向け日本が本気で取り組むのなら、NPT体制の崩壊に結びつく核開発を実現させたインドに対しても核兵器を持つべきでない事を独自ルートにてはっきりと主張するべきなのである。その際には、パキスタンに対しても同様の対応が必要であるし、アメリカを始めとする他の核保有国に対しても、削減を求めるなどバランスの取れた対応が必要となる。非常に複雑な国際情勢ではあるが、日本が心底から腹を据えて平和国家であろうとするならば、明確な信念とともに多角的に外交を推し進めるべきである。そもそもインドの日本に対する世論や印象は、比較的良好である。日本側がインドや東アジアに対して関わりを持つ意志が弱いだけであって、日本のアジアにおける平和的外交の影響力拡大を望んでいる国は多いのでは無いだろうか?インドはヒンズー教が中心であり、本来的には攻撃的な宗教ではないし穏健な国民性も見受けられる。ただ、インドには今もカースト制度が残り、先述の成長基盤であるIT産業につけるのは、カースト上位のしかも一部の人たちに限られると言う猛烈な格差社会である。この制度に対して他国が干渉することは非常に難しく、最大限の配慮が必要ではある。しかし、日本が人権を尊重する国連主義を外交の基本とするなら、平等な人権がそもそも前提として存在しないインドに対して人権の開放を訴える事は本質的に間違いではないと思われる。また、そのような積極的政策を推し進めるには、ヒンズー教など日本には馴染みの薄い文化や宗教観なども教育現場において積極的に教える事により、日本国民全体の意識の向上を図る必要があるのではないだろうか。インドという国を仕事としての提携先や、投資先をして考えるビジネスマンは多いだろうが、外交、国防、友好の観点からも見直してみる事は重要だろうと思う。国家としても、インド人の学生などを積極的に日本に招き、将来を担うインド人学生にも日本を良く知ってもらいつつ、出来る限り親日的になってもらえるように策を講じる事も必要ではないかと思う。