<Ⅲ.経済(経済産業省・金融庁・経済団体)>

注)9/15の日記が目次になっていますので、ご参考下さい。


② 中小企業振興(参考)


(参考)平成18年7月25日に経済産業省中小企業庁が発表した「新しい中小企業金融研究会」の報告の骨子を引用する。


1.企業ステージ別の資金調達
(1)創業・成長局面での資金調達
(2)再生局面での資金調達
(3)再挑戦の支援
(4)事業承継への対応

2.経済・金融環境に左右されにくい資金調達
(1)不動産担保・人的保証に過度に依存しない金融
(2)貸出債権証券化の推進
(3)担い手の多様化
(4)コミットメントライン

3.円滑な資金調達に向けた基盤強化や環境整備
(1)中小企業の自己資本充実
(2)中小企業の情報開示促進と取組の評価
(3)クレジットヒストリー・信用リスクデータベースの活用
(4)時代に合った持続可能な信用補完制度の確立

4.地域中小企業の活性化に関する金融面での貢献
(1)地域活性化への貢献


2−(1)での「不動産担保・人的保証に過度に依存しない金融」などは、これまでも指摘され続けている問題である。ビジネスとして金融機関が、債権保証を求める気持ちは良く分かるし、それが無いと貸出額も伸びないと言う状況にあるのが現状の問題である。しかし、これは政府等が肩代わりすれば良いと言う解決方法ではなく、金融機関の企業選別能力の向上による解決ができることが望ましい。また、2−(2)貸出債権証券化の推進などは、大企業においても債権の証券化が推進されている流れからも、中小企業に対しても導入できる部分は積極的に取り入れてもらいたいと思う。また、証券化の流れを受けて、2−(3)担い手の多様化という流れになるのが望ましい。3−(2)などは、もっともな指摘ではあるが、日常の受注業務の処理を回すことに手一杯の工場も多い事から、記入方法が面倒なフォーマットなどを提出させるような情報開示はやめて、簡素化、ポイントのみを絞った情報開示制度の導入が望まれる。また、情報開示が進むことにより、より積極的に中小企業に融資をしようとする金融機関が増える可能性は高い。経済学的に言うとこの問題は、情報の非対称性と契約の不完備製という市場の不効率性の2大論点の一つであり、学問的にも重要な問題である。(参照:補足)


「新しい中小企業金融研究会」の報告は、非常に面白い視点が盛り込まれており、興味がある方は、一度確認される事をお勧めします。
http://www.chusho.meti.go.jp/koukai/shingikai/kenkyu/060725kinyu_kenkyuu_houkokusho.htm


(補足)情報の非対称性によって、モラルハザード(経営者がサボるなど)や、逆選択(市場で価格がシグナル効果を発揮せずに、本当に良いものにしかるべき値段がつかず、安いものを高く買わされたり市場全体の信頼性が低くなる状態など)が起きて、不効率な市場になっていると言う問題のこと。