<Ⅲ.経済(経済産業省・金融庁・経済団体)>

注)9/15の日記が目次になっていますので、ご参考下さい。


③ 国際競争力の維持


 ・大企業の国際競争力の維持は絶対的に必要な政策目標である。本来、国際競争力はそれぞれ企業の努力、研究、開発による技術革新により維持されるべきである。しかし、基礎技術レベルの研究を行う余裕がなくなってきた企業に対し、国が率先して支出を行い基礎技術研究を行なう事は、国全体の国際競争力を維持するために真剣に検討しなければならないことである。さらに税制面からの政府の援助は必要であると思われる。日本国の法人税率の高さ(実行税率50%近く)は、以前から指摘されているが国際競争を行う企業にとってこの問題は切実である。また、新規産業の立ち上げに関して特別償却などを行い早期の損金参入を認めるなどの対応も必要となってくると思われる。

さらに、国際的に展開する企業への国際課税上の論点である、過小資本税制や移転価格税制の運用も徴税ありきの姿勢では企業側の士気を弱める事になりかねず配慮が必要である。昨日の日経新聞の記事にもありましたが、事前の価格交渉による両国間税務当局での価格合意を進めていく事は、国税側が進める事の出来る具体的で非常に有効な政策である。もちろん、国の財源確保のため公平な税負担原則のための税務当局の活躍は期待すべきところである。特に不正な行為を行おうとする企業があれば的確に処分すべきなのは言うまでもない。しかし、事前の明確な指針もなく事後的にこれは脱税行為であると言った指摘の仕方はあまり望ましいとは思えない。そういった場合は、最初に発生した事例により明確になった以降の事例については、徴税対象であると言う方法にするのが適当であろう。だからこそ、ここ1、2年で増加している移転価格税制適応等での公平な判断が期待される。

ただ、これら国際企業のみの優遇にならないように、国や地方の財政とのバランスを鑑みて決めていかなければいけない。全産業の現在と将来の収益性の計測、新たな産業のパイの大きさの計測、産業全体のバランスなど国際的企業の競争力維持に関する議論は、実は国内問題とのゼロサム的要素を含む問題であることを明確に理解する必要がある。また、法人税の税率優遇は外貨を稼げる企業は優遇するという意味からも、国内外の売上割合により海外売り上げ比率分に関しては、減税対象にするなどのアイデアも検討されるべきではないかと思われる。