MBO(1/3) 

 今日はM&Aの一形態であるLBOレバレッジドバイアウト=借り入れによるM&A)について、特に、MBO(マネジメントバイアウト)について少し書いてみます。と言いますのも、昨日の大学院の授業で現実のMBO事例を取り上げたケース研究として分析・討論を行なったからです。議論内容のエッセンスだけでも書いてみようと思います。


  内容は、MBO実施前に立ち返ってMBOを実施すべきかどうかを理論的に、ファイナンス的に議論しようと言うものです。議論の軸として設問が4つありました。

 ①企業側(A社)はMBOを行なうべきだったか?
 ②A社の株価はMBOを行なうにあたり割安だったか?
 ③仲介投資ファンド側は、このMBO案件に投資すべきだったか?
 ④既存株主にとって、MBOはどういう意味を持つか?


  1つ目の設問の、MBOを実施した企業側はMBOを実施すべきだったかどうか?と言う事ですが、何%までの株を買い占めるかにもよりますが、大体の場合MBOを行なった場合には、株主構成が著しく偏るため、証券取引所規則(証取法かな?)により上場廃止となります。MBOの結果、上場廃止に至ると言う事をどのように捉えるかが論点の1つとして挙げられます。もちろん上場している事自体には、メリットとデメリットがあります。


  デメリットとしては、四半期決算対応、詳細な情報開示など上場企業には様々な制約があります。また、市場全体からの監視効果と言うものはあります。しかし、メリットとしては、上場していれば、まず信用に繋がりますし、宣伝効果もあります。社員確保や、取引の拡大などに効果があります。


一長一短と言ったところでしょうか?


  その企業がどういう状況にあるかにより上場廃止にも繋がるMBOを行なうべきかどうかは変わってきます。例えば、事業が芳しくなく打開策としての良い投資案件もないと言う状態なら、市場は見放して、株価は下落するでしょう。となると、買収リスクが高まると言った事だけでなく株価のシグナル効果として、取引を止める取引先なども出てくる可能性はあります。そうなると社債の発行や、借入金を行うにしても不利な条件でしか行なえずに、さらに苦しい状況に陥ってしまう可能性があります。


  このような場合には、MBO(≒上場廃止)という策は望ましいわけではないですが、1つの手段として考えられます。投資会社が間に入る事により資金調達が可能になり、新たな戦略的な投資が可能になります。また、四半期ごとの短期での結果を重視する必要が少なくなり、上場時よりも長期での戦略立案も可能になります。